特許審査ハイウェイ(PPH)とは、第1庁(先行庁)で特許可能と判断された発明を有する出願について、出願人の申請により、第2庁(後続庁)において簡易な手続で早期審査が受けられる枠組みです。
ここでは、PPHの種類や、メリットデメリットについて詳しく解説していきます。
PPHは、1990年代後半から2000年代にかけて急増した特許出願の審査のひとつひとつを、各国が何度も審査すると時間がかかり、非効率であることから各国特許庁と出願者の手間を減らすことを目的として定められた制度です。2006年7月より日米の特許庁間でPPHの試行がスタートし、2018年6月現在では、42の国・地域・機関等が日本との間で各種PPHを利用できるようになっています。
PPHには3つの種類があります。それぞれに違いがありますので、解説していきます。
各国の庁の審査が重複するなどの非効率性を回避するために作られた、PPHの基本的な流れにのっとった審査です。出願者は第1庁に特許申請を行い、その結果をもって他国の庁に申請することができます。第2庁は、第1庁の出した審査結果に基づいて審査するのが原則です。第1庁は第2庁に対してパリ条約上の優先権を主張しているので、第1庁(先行庁)出願と特定の関係にあります。
PPH-MOTTAINAIは、申請要件の緩和と対象案件の拡大を目的とし、2011年7月から新たにつくられたPPHです。従来のPPHでは、第1庁で出た審査結果に基づいて第2庁での審査を行うことが原則でしたが、PPH-MOTTAINAIを実施している庁との間では、どの庁に先に特許出願をしたかにかかわらず、参加庁による特許可能との審査結果があれば、PPHが利用できるようになります。他庁で出た有益な審査結果も、もったいないの精神で活用できる状況にし、より精度の高い審査結果に基づいて特許取得を促すための取り組みです。
PCT-PPHは、PCT出願の国際段階成果物である見解書(IPER)を利用して特許審査を申請することができるPPHです。従来のPPHでは、見解書に基づいて第1庁が審査を行い、その結果をもって他庁へ申請する必要がありますが、PCT-PPHでは、どの国の庁であっても見解書を利用して申請すれば、審査が開始されますので、見解書を最大限に活用することができ、かつ早いタイミングで申請できるなどのメリットがあります。
PPHの取り組みが開始されたことによるメリットは、様々です。
まず、大幅に審査期間が短縮されることです。日本から米国への特許出願では、審査に約25カ月もかかっていたものを、約6カ月に短縮することができるようになった例があります。
他には、特許査定率の上昇も挙げられます。これまで半数に満たなかった米国での最終特許査定率が、PPHでの申請にしたところ、ほぼ活用されるといった、目覚ましいものになっています。拒絶通知をおこなう「オフィスアクション」の回数も減少していることから、双方の手間やコストの削減にもつながっています。
PPHのデメリットは、「期待したとおりの結果にならないこともある」ということです。PPHを利用する側の期待としては、「拒絶通知」が一度もなく登録されることだと思われますが、各国の法制度によって記載要件や非自明性の判断基準が違うため、第1庁で特許性があると認められた発明品であっても、第2庁で同じ結果にならない、ということも有り得ます。
また、特許請求の範囲を第1庁と同様の記載にする必要があり、補正しなければPPHとして認められず、通常の扱いになり、PPH申請が受け付けられない状態になります。
PPHはまだ企業への知名度が低いのが悩ましい点です。製品サイクルが短いスピード企業にとっては、早期審査ができるPPHは非常に有効な制度であることが広く認知されれば、飛躍的に活用される制度でしょう
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